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まちなかの本の森 

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さよならを待つふたりのために

今月も10代の本棚から、1冊ご紹介いたします。
『さよならを待つふたりのために』 ジョン・グリーン 作 (YAグ)

「ヘイゼルは十六歳。甲状腺がんが肺に転移して以来、
もう三年も酸素ボンベが手放せない生活。
骨肉腫で片脚を失った少年オーガスタスと出会い、互いにひかれあうが…」

裏表紙に書かれたあらすじを読んで、「あ~、苦手かも…」、
この手の話は、なんとなく避けてきたから…。
けれども、数ページ読み進めたところに書かれたこの文章にハッとしました。

「両親を喜ばせたかったから。十六歳でがんで死ぬことより最悪なことは
この世でたったひとつ。がんで死ぬ子どもを持つことだ。」
心の中を読み取られた気がして、その後は、夢中で読んでいました。

すばらしい物語です…、けれども“よくあるこの手の話”とは違います。
自分が死んだ後、自分のせいで苦しむ人を
できるだけ作りたくないと切実に願うヘイゼル、
一方、自分が死んだ後の世界に、生きた証を残したいと願うオーガスタス。
生と死を真正面から見つめ、自分たちの置かれた運命の不公平さを恨み、
それを、10代らしい感性で正直に語っているのです。

その言葉は、哲学的で、高尚な優しさに溢れています。
それでいて、彼らは、いたって普通の若者たちなのです。
おしゃれに気を使い、異性に関心をもち、残酷なゲームに興じ、
ブラックユーモアも大好きな、健康な同世代の若者たちと何も変わらない…。

10代の子どもたちが、こんなにも深く物事を考えているとしたら、
親は、いったい彼らのために、何ができるというのでしょうか…。
物語の中で流れる、アンネ・フランクの父親の言葉が印象的です。
「(アンネは)日記に書いていたような心の内は決して見せませんでした」
「…多くの親は子どもを本当の意味では知らないのだとわかりました」

タイム誌の2012年度小説1位に輝いた『さよならを待つふたりのために』。
10月27日からは、読書週間です。この機会に是非、読んでみてください。
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