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まちなかの本の森 

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レシピつき時代小説(空腹時にご注意)

200年前の江戸を舞台に、若き料理人・澪(みお)の奮闘を描いた、高田郁「みをつくし料理帖」シリーズ(角川春樹事務所、2008~2012年)が文庫本コーナーに仲間入りしました。
読みやすい文章ながら、時代物ならではの季節感や言葉の美しさもしっかり楽しめます。

主人公の澪は天性の味覚という才能と、幼いころから郷里・大坂(大阪)の名料理屋で仕込まれた確かな腕をもち、江戸・神田「つる家」の厨房を任されています。
江戸と大坂の味や食文化の違い。ライバル店からの妨害。澪自身や周りの人々それぞれが抱えもつ過去の悲しみ。「女の作る料理なんぞ」という非難の声。
大切な「つる家」の命運もかかったこれらの課題に全身で取り組み、やがて創造的な料理の踏み台にしていく澪の姿は、読んでいて元気が出ます。

また、「つる家」では、経営や仕入れは店主の種市が、メニュー作りと調理は澪が行い、配膳や接客を担当する芳やおりょうも、店のために必要な意見は遠慮なく出します。月に数回、澪と助っ人の又次という男女の料理人が、互いの経験と知恵を出し合って料理を出すところも胸のすく場面です。小さな男女共同参画社会さながらの「つる家」、こんな店があったら入ってみたい!

美味しそうな素材や料理がふんだんに描かれ、料理を食べた人々の反応があまりに幸せそうなので、お腹が空いているときに読むのはちょっと酷かもしれませんが・・・。

密かに嬉しいのは、巻末に載せられたミニ・レシピ集。
お話のなかで人々を驚かせた料理ですが、これなら作ってみようかな、と思えるような素朴さです。
「とろとろ茶碗蒸し」や「ほっこり酒粕汁」(ともに1巻『八朔の雪』より)など、これからの季節にぴったりではないでしょうか。

「みをつくし料理帖」シリーズ
1巻『八朔(はっさく)の雪』 2巻『花散らしの雨』 3巻『想い雲』 4巻『今朝の春』 5巻『小夜(さよ)しぐれ』 6巻『心星(しんぼし)ひとつ』 7巻『夏(か)天(てん)の虹』 (分類は全て【13/タ】)。
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