まちなかの本の森 

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季節が変わって 

図書情報室の窓から差し込む明るい陽射しが、心地よく感じるようになりました。
御射山公園に面した窓際の閲覧席を、利用される方が少し増えたような気がします。
私も、公園の緑と元気に遊ぶ子どもたちが見えるこのスペースが、とても気に入っています。
時間がゆっくり流れている感じがするのです。図書室に来られたら、一度座ってみてください。

さて、9月の図書情報室では、“敬老の日”にちなんで老いをテーマに特集をしています。
そこで10代の本棚からは、お年寄りとのふれあいを描いた作品を一つご紹介します。

『夏の庭 -The Friends-』 湯本 香樹実/著 (YA 13 ユ)

12歳の少年たちの忘れがたい夏を描いた児童文学の名作で
世界十数か国で翻訳出版され、話題を呼んだ作品です。
「死んだ人を見てみたい!」という、子ども特有の好奇心から
3人の少年たちは「もうじき死ぬんじゃないか」と噂されている、
ひとり暮らしのおじいさんを見張りはじめます。
けれども、少年たちに見られていることに気付いたおじいさんは
だんだん元気になっていき…。
孤独なおじいさんとの、ひと夏の交流を通して、少年たちは
大切な何かを確実に感じ取っていきます。
おじいさんの死を目の当りにした少年たちの純真な感性が
何ともやさしく爽やかな物語です。

たとえ立派な経歴のある人でなくても、その人生を誠実に生きたお年寄りから
私たちは、型にはまらず前向きに、精一杯生きることの素晴らしさを
教えていただいているように思うのです。
10代の本棚は、図書室に入ってすぐ右側、コミックのお隣です。

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「エンドレス・ワルツ」と、ある女の生き様

9月から、8月30日に亡くなった作家で詩人の稲葉真弓さんの追悼特集をやっています。
恥ずかしながら、稲葉さんの小説はほとんど読んだことがなかったのですが、
受賞歴、著作などを調べていくうちに驚くような発見がありました!

ご存知の方には何も新鮮味のない話なので申し訳ないのですが、
稲葉さんの1992年の著作『エンドレス・ワルツ』が、
女優で作家の鈴木いづみとサックス奏者阿部薫の愛憎の世界を描いた実名小説
というではありませんか!!!!
しかもこの小説は、広田玲央名(「だいじょうぶ・マイフレンド」の!)と
町田町蔵(あの作家の町田康!)主演で、
阿部薫と生前交流のあった若松孝二監督によって映画化されていたのです!
(すいません、驚きすぎですね…)

なぜこんなにも驚いているかというと、鈴木いづみと阿部薫の二人は、伝説のパンクバンド、
セックスピストルズのシド&ナンシーにも例えられ、その破滅的、狂気に満ちた関係は
まさに(私個人的に)70年代という時代を現した激烈なもので、
「女とはどのような存在か」を問い、
「70年代に何が起こっていたのか」を感じ取れる存在だからなのです。

しかも今回、図書室でもご紹介している鈴木いづみのコレクションは、
アラーキーこと荒木経惟氏が撮影した、いづみ本人のポートレートが装丁を飾っていて、
そのグラマラスで妖しく、かつ人を全く寄せ付けないような孤独や哀しさというものを体現している
素晴らしい写真なのです。


「わたしは男でも女でもないし、性なんかいらないし、ひとりで遠くにいきたいのだ」
 

「速度が問題なのだ。人生の絶対量は、はじめから決まっているという気がする。
細く長くか太く短くか、いずれにしても使いきってしまえば死ぬよりほかにない。」


これまで鈴木いづみの散文しか読んだことはなかったのですが、
これを機に鈴木いづみコレクションを皆さんにご紹介しつつ(私個人は小説も制覇し)、
また稲葉真弓という、亡くなってから初めて出会う新しい作家の作品を楽しんでみたいと思います。
みなさんも、ぜひ一度足を運んでみてください。(K)

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