まちなかの本の森 

自分の声を、その生き方に映し出した二人

“ピーターラビット”生みの親である、ビアトリクス・ポター。1866年にロンドンに生まれました。
この時代は、女性が独立して仕事をしたり、自分の人生を選び取るということは
歓迎されませんでした。ポターは、幼少期に友達を作ることも禁止されていたそうです。
その一方で、幼いころから動物や昆虫が大好きで、
勉強部屋にこっそり“秘密の動物園”を作り、
さまざまな生き物を収集し、骨格まで調べ上げていました。

幸いにも裕福な家庭で育てられ、家庭教師から個人的に勉強を学ぶ機会を持ち、
自分の絵がクリスマスカードとして売れるという経験をしたことをきっかけに
自費で、ペットのうさぎ、”ピーター”を主人公にした絵本を世に出します。

絵本作家として成功したポターは、その後、自分の好きな生き方――農業に従事し、
牛や羊を飼育したり、湖水地方に広大な土地を購入、
それを国民に遺す「ナショナルトラスト」という自然保護運動の先駆者となったのです。

今年、生誕150年となるビアトリクス・ポター。
自分の人生を、自らの手で切り拓いた女性の物語を、
そして愛らしい動物たちのお話をぜひ楽しんでください。

そしてもう一つの特集は、先日、亡くなられた脚本家で映画監督の松山善三さん。
日本映画の黄金期を築いた映画監督、木下恵介に認められ、「カルメン故郷に帰る」
「二十四の瞳」などの助監督を務めました。
脚本家として「人間の條件」、「恍惚の人」、「人間の証明」などを手がけ、
聾唖者の夫婦を描いた「名もなく貧しく美しく」、薬害により生まれつき
両腕を持たない女性が主人公の「典子は、今」などで知られています。

でも「松山善三」の名を世に大きく知らしめたのは、実は
女優高峰秀子さんとの突然の婚約のニュース。
当時、助監督だった松山さんの月給は1万円ちょっと、
高峰さんの出演料は映画1本で100万円級。「釣り合わない二人」、
昨今で言う所の「格差婚」で、当時もすぐに別れるだろうと言われていたそうですが、
二人は結婚生活を全うしました。
その結婚、夫婦のカタチはどんなものだったのでしょう。
図書情報室の特集「妻の名は高峰秀子 松山善三特集」で
高峰さんのエッセイなどから、その大事な鍵を探してみてください。

ところで、どうして高収入の男性と結婚した女性は、「格差婚」と呼ばれないのでしょうか。
こんなところにも「ジェンダー」が隠れています。

当時、収入や名声の点で、松山さんは見合っていないのではと聞かれた高峰は、
「そんなものが何だっていうんです。人間が良ければいいんです」と返したそうです。
誰の基準でもない、自分自身の考えを持っていた一人の女優の、
胸をすくようなエピソードです。

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あなたの住まいは、“あなたらしい”?


1930年代、独身の職業婦人のために日本で初めて建てられた
「同潤会大塚女子アパートメント」をご存知ですか。
洋館の佇まいに食堂や銭湯もあり、当時としては贅沢な作りで、
会社勤めの女性が安心して生活できる場所だったそうです。
現在はもう取り壊されてしまいましたが、当時の建物の写真を見るだけでも、
レトロなのにどこかモダンな雰囲気もあり、思わずため息が出てきます。

かつてシングルの女性は「オールドミス」という蔑みを込めた呼び方をされ、
大塚女子アパートメントも「オールドミスの館」などと呼ばれていました。
けれど、そんな暗いイメージとは真逆の、個性的で魅力的な女性たちが
ここでの暮らしを謳歌していました。ロシアからやってきたバイオリニストの
小野アンナ、推理小説作家の戸川昌子、フェミニズムのオピニオンリーダー
でもあった駒尺喜美ら、「血縁に依らない共生の原点」がここにありました。

最近ではシェアハウスやコレクティブハウスという、
家族以外と暮らす、緩やかなつながりのある住まいも話題になっていますね。
ここ京都では、古い町家を改修して店舗兼自宅として暮らす方も
出てきています。

そこで9月15日からの図書情報室の特集では、
女性の住まいと生き方について取り上げます。
フランク・ロイド・ライトの弟子であった建築家土浦信子さんの本や
ダイニングキッチンの誕生にまつわるお話など、いろいろ集めてみました。
あなたは、いまどんな家、どんな部屋に住んでいますか?
そしてそれは、あなたの生き方とどんなふうにつながっているでしょうか。
ぜひ、あなたらしい「住まい」を作るヒントを見つけに来てください。

どちらも“こうれい”の話題です。


平成28年版の高齢(こうれい)社会白書によると、
高齢者のいる世帯は全世帯の約半分、
「単独世帯」・「夫婦のみ世帯」が全体の過半数、
一人暮らし高齢者が増加傾向だそうです。
みなさんには「そう言われてみれば」という実感がありますか?

ともあれ、誰でもいつかは年をとり、一人で暮らしていく可能性は
十分にあります。そのとき、どうしたら充実した、自分らしい人生を
送っていられるのでしょうか。

今回はそんな疑問にヒントをくれる資料を
「おひとりさまと老い」と題し、特集しています。
「老い」を感じる方も、「まだまだ」という方にもお薦めしています。

そしてもうひとつ、お知らせです。
春、秋と毎年恒例(こうれい)となりました、京都アートフリーマーケット!
図書情報室では、フリマの期間中、保存期間切れの雑誌を
市民の皆様にお譲りしています。

開催期間は2015年月9月17日(土)・18日(日)・19日(祝)の3日間、
いずれも11:00~16:30までです。
お持ち帰りいただけるのは、期間中通して、お一人5冊まで。
雑誌が決まりましたら、図書カウンターへお持ちくださいね。

お譲りする雑誌の一部をご紹介します!
『anan』 ・ 『クロワッサン』 ・  『栄養と料理』 ・ 『芸術新潮』 ・『Leaf』
『暮らしの手帖』 ・『BRUTUS』 ・ 『月刊京都』 ・ 『週刊東洋経済』
『CREA』 ・ 『FIGARO japon』 ・ 『COURRiER JAPON』
『婦人公論』 ・『たまごクラブ』 ・ 『ELLEジャポン』 ・ 『ダ・ヴィンチ』 
『和楽』  ・ 『文藝春秋』 ・ 『キネマ旬報』 ・ 『サライ』 ・ 『うかたま』 
『いきいき』 ・『日経PC21』 ・ 『日経WOMAN』 ・ 『クーヨン』 
など、いろいろありますよ。

ぜひ立ち寄ってみてください。お待ちしています。

戦争を知る 3人の女性、その生き方から 

自分自身が体験していないからこそ、良く知りたい、
知らなければいけないと思うのが、
戦争を生きた人々の生き方ではないでしょうか。

今回は、第二次世界大戦を生きた3人の女性、
映画監督で写真家のレニ・リーフェンシュタール
女優でありながらナチスと勇敢に戦ったマレーネ・ディートリヒ
そして15歳でナチス強制収容所で亡くなったアンネ・フランク
に注目し特集しています。

まず、レニ・リーフェンシュタールは
ベルリンオリンピックの記録映画『オリンピア』の監督として有名です。
またナチス党大会の記録映画『意志の勝利』は、
ナチスによる独裁を正当化し、国威を発揚させるプロパガンダだとして、
「ナチスの協力者」として批判され、戦後も断罪され続けました。
彼女はあの時代に、いったいどんなことを考えていたのでしょうか。

そしてマレーネ・ディートリヒ。
彼女はヒットラーやナチズムに反抗し、女優でありながら、
戦場の兵士を慰問するためヨーロッパの最前線に向かったそうです。
しかし、その後、アメリカの市民権を獲得し、祖国ドイツを去りました。

あるドイツ人は「いまの若いドイツ人がどれほどディートリヒを
知っているかわからないが、ディートリヒの名前を知っている人は、
ディートリヒときいただけで、ドイツの1世紀を思い出し、
現在ドイツ人として生きている自分のことを考え、
ディートリヒに、何か一言いいたくなるんじゃないですか」と
思慮深く答えたといいます。
(「わがマレーネ・ディートリヒ伝」鈴木明著より)

限りなく細い眉と、意志の強いまなざし、
「リリー・マルレーン」の歌声とその脚線美が特徴の美しい女優…。
戦争の真っただ中で何を考え、どのような生き方を選んだのか。
とても興味深いです。

そしてアンネ・フランクは良く知られていますね。
ナチスの迫害から逃れ、隠れ家に居た頃の日記が戦後、発表されました。
戦争と差別のない世界を願っていた一人の少女。
今回は、その思いが詰まった日記だけではなく、
アンネにまつわる関連本もご紹介しています。

連日の恐ろしい猛暑で「避難先」をお探しのみなさん、
涼し~い図書室でお待ちしています!
「うちの娘は理系女子!」の特集もやっていまーす。

少女マンガの金字塔、40年ぶりの続編!


「少女マンガ界の神様」とも呼ばれ、
熱狂的なファンも多いマンガ家の萩尾望都さん。
1970年代に連載された代表作「ポーの一族」を
この7月、40年ぶりに新作続編として少女マンガ雑誌に書き下ろしました。

この「ポーの一族」は、少年の姿のまま永遠に生きる、
美しい吸血鬼(バンパネラ)の物語。
悲しい宿命を背負った二人の美少年、エドガーとアランらが
時空を超えて旅するさま、不老不死の哀しみなどが
繊細で美しい絵で描かれています。

ニュースによると、この少女雑誌は通常の1.5倍に当たる5万部を発行したのですが、
発売当日に完売や在庫僅かとなったりする書店が相次ぎ、
雑誌としては異例の増刷となったそうです。

またネットで「40年ぶりの続編」という情報が流れると、
「生きていてよかった」「母に伝えなくては」「母が泣いている」
といった声がTwitter上であふれたそうです。
お母さんが熱烈なファンだったんですね。

新聞でも「漫画雑誌の発売日が待ち遠しくてわくわくするなんて、
学生時代以来かもしれない」と編集委員が書くなど、
萩尾望都さんの作品の力を感じずにはいられません。

そしてこの「ポーの一族」のは、若いファンだけではなく、
異なる年齢層にも反応が多く、「大人の鑑賞にも耐えうる表現」と評価され、
少女マンガが広く認知されるに契機になった作品とも言われています。

8月からウィングス京都 図書情報室では、その萩尾望都さんの
マンガ、エッセイ、ムック本などを特集します。
クーラーの効いた静かな図書室で、萩尾ワールドにどっぷり浸れます!
ぜひ立ち寄ってくださいね。